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【※2020年11月30日現在の情報です】

機法とは

平成25年11月27日に「薬事法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第84号)が公布されました。施行期日については「公布の日より1年を超えない範囲で政令により定める日」とされていましたが、「薬事法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成26年政令第268号)により、「平成26年11月25日」より施行されました。

 

今までは「薬事法」と呼んでいましたが、この改正法の中で名称が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」となり略称が「薬機法」に変更されました。

 

「薬機法」は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の有効性や安全性を確保するために定められ、主な改正ポイントは、医療機器の規定が独立した点と、再生医療等製品の規定が新設された点です。立法趣旨は薬事法と大きく変わりありません。

 

医薬品では再生医療技術が発見され、新規技術を応用した医薬品に対応する形に、医療機器では、日ごと月ごとに発展する現状に対応するため、許可や登録の簡素化(迅速化)と品質・安全性を両立するための法改正となりました。

 

今回の改正の内容は主として、医薬品や医療機器の改正であるため、医薬部外品や化粧品では本質に関わるほどの大きな変更はありません。
ここでは、主に化粧品、医薬部外品に関わる部分について解説します。

制内容

薬機法上、多くの規制がありますが、化粧品、医薬部外品に大きく関わるのが「広告規制」です。
「第10章 医薬品等の広告 第66条」によって誇大広告等が規制されています。

 

第66条:何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2:医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3:何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

 

下記、広告の3要件を満たせば「広告」に該当します。
●誘引性:顧客を誘引する意図が明確であること
●特定性:特定の商品名が明らかにされていること
●認知性:一般人が認知できる状態であること

 

また、66条に「何人も」と記載があるように、広告主だけでなく、ライターやアフィリエイター・インフルエンサーも規制対象となります。
詳しい内容は、2017年7月13日の日本化粧品工業連合会より通知の「化粧品等のインターネット上の広告基準の策定について」をご確認ください。
JCIA20170713_ADguide_internet.pdf

制対象

下記に薬機法が規制する主要な対象物を定義した条文を抜粋しています。

 

医薬品の定義(第2条1項)

 

この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。

 

  1. 日本薬局方に収められている物
  2. 2. 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、
    一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
  3. 3. 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)

 

医薬部外品の定義(第2条2項)

 

この法律で「医薬部外品」とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。

 

  1. 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
      イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
      ロ あせも、ただれ等の防止
      ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
  2. 2.
    人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第(2)号又は第(3)号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの
  3. 3. 前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物(前2号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

 

化粧品の定義(第2条3項)

 

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第1項第2号又は第3号に規定する用途に使用されることも併せて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

 

医療機器の定義(第2条4項)

 

この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

置命令の流れ

措置命令とは、違法な広告がなされた場合にそれをやめさせ、再発防止のための必要な措置を命じる行政処分になります。
WebサイトやSNSの広告で薬機法を遵守せずに発信されているケースが見られますが、要注意です。
下記いずれかを発端に発覚し、広告主・ASP(Affiliate Service Provider)へ連絡・措置命令に至るケースが多くみられます。

 

●同業者が違反文書を警察へ提出
●消費者からの消費者センターへ多数のクレームが寄せられた
●行政の自発的なパトロール

 

違反したアフィリエイトサイトを通じて、広告主・ASP(Affiliate Service Provider)に
罰則が適用され、その後、アフィリエイターも責任追及を受けるリスクがあります。

機法違反の罰則

罰則には行政指導と刑事摘発があります。

 

行政指導
行政が行う是正措置を指します。具体的には違法状態の是正と報告書の提出を求められます。
2021年8月から課徴金制度の罰則(違法によって得た利益の没収)が導入されます。
*詳細は後述します。

 

刑事罰
行政と警察は原則として無関係に動きます。
薬機法違反事件の管轄は、立件を求めた人の住所地の警察にあります。

 

課徴金
行政指導・刑事罰に加え、2021年8月から課徴金制度の罰則(違法によって得た利益の没収)が導入されます。

 

〈課徴金額〉
課徴金額は、 ①「課徴金対象期間」に取引をした ②「課徴金対象行為に係る医薬品等」の
③「対価合計額」
に、4.5%を乗じて得た額である(法第75条の5の2第1項)
(1)「課徴金対象期間」=①+②(法第75条の5の2第2項)

 

〈課徴金対象期間〉
①課徴金対象行為(虚偽・誇大広告等)をした期間
②「課徴金対象行為をやめた日(※)」から(a)6か月を経過する日、又は、(b)「当該医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して誤解を生ずるおそれを解消するための措置」をとった日の
いずれか早い日までの間に、当該「課徴金対象行為に係る医薬品等の取引をした」場合
→ ①の期間(課徴金対象行為をした期間)に、当該「課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間」を加えた期間(最長3年間)

 

出典:厚生労働省 「課徴金制度の導入について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000609186.pdf

粧品で標ぼう可能な効能効果

化粧品は、薬機法上、規制対象となる商品です。
広告する事ができる効能・効果については、下記の56項目の範囲になります。

 

※No56「乾燥による小ジワを目立たなくする。」の表示については
適切な試験を行い、効果を確認することが求められています。具体的には、日本香粧品学会の「化粧品機能評価法ガイドライン」の「新規効能取得のための抗シワ製品評価ガイドライン」に基づく試験、又はそれと同等以上の適切な試験となります。
その効果を確認したうえで、試験を行なったことを製品に表記(例「※効能評価試験済み」)しなければなりません。

 

No. 効能効果 No. 効能効果
1 頭皮、毛髪を清浄にする 2 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
3 頭皮、毛髪をすこやかに保つ 4 毛髪にはり、こしを与える
5 頭皮、毛髪にうるおいを与える 6 頭皮、毛髪のうるおいを保つ
7 毛髪をしなやかにする 8 クシどおりをよくする
9 毛髪のつやを保つ 10 毛髪につやを与える
11 フケ、カユミがとれる 12 フケ、カユミを抑える
13 毛髪の水分、油分を補い保つ 14 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ
15 髪型を整え、保持する 16 毛髪の帯電を防止する
17 (汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする 18 (洗浄により)ニキビ、アセモを、防ぐ(洗顔料)
19 肌を整える 20 肌のキメを整える
21 皮膚をすこやかに保つ 22 肌荒れを防ぐ
23 肌をひきしめる 24 皮膚にうるおいを与える
25 皮膚に水分、油分を補い保つ 26 皮膚の柔軟性を保つ
27 皮膚を保護する 28 皮膚の乾燥を防ぐ
29 肌をやわらげる 30 肌にはりを与える
31 肌にツヤを与える 32 肌を滑らかにする
33 ひげを剃りやすくする 34 ひげそり後の肌を整える
35 あせもを、防ぐ(打粉) 36 日やけを防ぐ
37 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ 38 芳香を与える
39 爪を保護する 40 爪をすこやかに保つ
41 爪にうるおいを与える 42 口唇の荒れを防ぐ
43 口唇のキメを整える 44 口唇にうるおいを与える
45 口唇をすこやかにする 46 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ
47 口唇による乾燥によるカサツキを防ぐ 48 口唇を滑らかにする
49 ムシ歯を防ぐ(使用時のブラッシングを行う歯みがき類) 50 歯を白くする(使用時のブラッシングを行う歯みがき類)
51 歯垢を除去する(使用時のブラッシングを行う歯みがき類) 52 口中を浄化する(歯みがき類)
53 口臭を防ぐ(歯みがき類) 54 歯のヤニを、取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
55 歯石の沈着を防ぐ(使用時のブラッシングを行う歯みがき類) 56 乾燥による小ジワを目立たなくする

用化粧品で標ぼう可能な効能効果

薬用化粧品「医薬部外品」も薬機法上の規制対象です。
医薬品ほど作用は強くないが、一定の効能効果の承認を受けた商品です。
化粧品の中でも薬用化粧品として「医薬部外品」にカテゴライズされる商品は、化粧品で認められた56の表現に加え、下記の通り、予防に関する効能効果を標ぼうすることができます。

 

種類 効能効果
1.シャンプー ふけ・かゆみを防ぐ。
毛髪・頭皮の汚臭を防ぐ。
毛髪・頭皮を清浄にする。
毛髪・頭皮を「すこやかに保つ。」「しなやかにする。」
(「」二者択一)
2.リンス ふけ・かゆみを防ぐ。
毛髪・頭皮の汚臭を防ぐ。
毛髪の水分・脂肪を補い保つ。
烈毛・切毛・枝毛を防ぐ。
毛髪・頭皮を「すこやかに保つ。」「しなやかにする。」
(「」二者択一)
3.化粧水 肌荒れ。あれ性。
あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。
油性肌。
かみそりまけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。
皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。
4.クリーム、乳液、ハンドクリーム、化粧用油 肌あれ。あれ性。
あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。
油性肌。
かみそりまけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。
皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。
皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。
5.ひげそり用剤 かみそりまけを防ぐ。
皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。
6. 日やけ止め剤 日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。
日やけ・雪やけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
皮膚を保護する。
7.パック 肌あれ。あれ性。
にきびを防ぐ。
油性肌。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をなめらかにする。
皮膚を清浄にする。
8.薬用石けん(洗顔料を含む) <殺菌剤主剤のもの>(消炎剤主剤をあわせて配合するものを含む)
皮膚の清浄・殺菌・消毒。
体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。
〈消炎剤取材のもの〉
皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。

 

(注1)作用機序によっては、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められる。
(注2)上記にかかわらず、化粧品の効能の範囲のみを標ぼうするものは、医薬部外品としては認められない。

適正な表示事例について

●お客さまの体験談で効能を表示する場合、「※あくまで個人の感想です」といった打ち消し表現があれば〇K?
  →消費者に対し化粧品などの効能効果又は安全性について誤認を与えるおそれがあるので×(効能効果又は安全性以外の使用方法・使用感・香りのイメージ等に関しては、事実に基づく使用者の感想の範囲であれば〇K)
(参考:日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドラインE20「使用体験談」の表現の範囲)

 

●使用前・使用後のイラスト・写真の掲載はOK?
  →医薬品等の効能効果等又は安全性の保証表現となるので×(汚れた肌と洗浄後の肌の比較や、メーキャップでの着色効果を示す表現等はOK)

 

●断定した表現でなければ効能・効果を表示してもOK?
  →第66条において「明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。」とありますので、断定していなくても標榜可能な効能・効果を逸脱した表現は×

 

●商品自体ではなく、配合された成分についての効能効果の表示ならOK?
  →化粧品に配合されている成分のうち、一部の成分を特記する場合、その成分の「配合目的」を併記する必要があります。記載に関しては、次の点にご注意下さい。
1 事実であること
2 化粧品の効能効果の範囲内であること
表示例:コメヌカエキス(保湿成分)配合
表示例:お肌にうるおいを与えるコメヌカエキス配合

 

●エイジングケア製品に「アンチエイジング」表示はOK?
  →エイジングケアとは、加齢によって変化している現在の肌状態に応じて、化粧品等に認められた
効能・効果の範囲内で行う、年齢に応じた化粧品等によるお手入れの事をさしますので「抗老化」を意味する「アンチエイジング」の表示は×。
表示例:「エイジングケア対策に※」「※年齢に応じたお手入れのこと。」
表示例:年を重ねた肌にうるおいを与えるエイジングケア
(参考:日本化粧品工業連合会 化粧品等の適正広告ガイドライン E18「エイジングケア」の表現)

 

製品への表示及び広告表現などは、関連法規及び化粧品適正広告ガイドラインをご確認ください。
出典:日本化粧品工業連合会 「化粧品等の適正広告ガイドライン2020年版」JCIA20200615_ADguide.pdf